にわにわ日記

見たもの、読んだものなどを書きつけています。

読んだ本メモ

 あまり時間が取れず記事を書けていませんが、読んだ本をメモしておきます。

 

エラリー・クイーン『Xの悲劇』

 エラリー・クイーン(発表時はバーナビー・ロス)の『Xの悲劇』。耳が聞こえなくなって引退した元シェイクスピア俳優、ドルリー・レーンを探偵とする話。ロマンスグレーの老紳士で当時としても時代がかった衣装に身を包み、シェイクスピア趣味が過ぎる豪邸に住み、半裸で日光浴が趣味という…。今でいうハリウッドスター的な存在なのでしょうかね?衆人環視のなかの毒殺、顔のつぶれた死体、ダイイングメッセージのXなどいろいろ趣向が凝らされています。

 

エラリー・クイーン『クイーンの定員』

『クイーンの定員』。クイーンつながりでこちらも読みました。 クイーンによるミステリー史の編纂という趣旨の本です。エドガー・アラン・ポーアーサー・コナン・ドイルなどを中心に、ミステリー小説(と言えないものもありますが…)を収録しています。印象深かったのはオルドリッチの『舞姫』、スティーブンソン『クリーム・パイを持った若い男の話』、ポースト『罪の本体』など。今でも通じそうな秀逸な作品が多かったですね。

 

 京極夏彦嗤う伊右衛門

 京極夏彦嗤う伊右衛門』。再読。四谷怪談のお岩さんの話。お岩さんの旦那、伊右衛門を主人公に据えている。伊右衛門は一般的には悪党として描かれているが、この話では愚直で不器用だが正義感がありすこぶる腕が立つ、しかしどこか捨て鉢な世捨て人……といった風情のキャラクター。そんな彼がお岩さんに出会い、お互い惹かれ合っているはずなのに悲劇が起きる。京極夏彦らしい、狂気と幻想にありながらどこかロジカルな目で世界を分解して再構築しています。作中には京極夏彦巷説百物語シリーズのキャラ、又市もちょい役で出てきます。(知らなかったんですが又市は原典である四谷怪談に出てくるんですね)